カワウソの独り言

偏愛する映画と本について書いています。

書店主になりました(「一棚店主」)

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棚の借り主が自由に本を販売できる新しい形態の書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」が本の街・神保町に誕生する。オープンは3月1日。コロナの現状を鑑みて、当面は完全予約制になる模様。

passage.allreviews.jp

「申し込みフォーム」から現在の入居状況が確認できる。棚主は現在も募集中だ。

 

400近い棚には作家、書評家の方々など錚々たる顔ぶれの棚主が並ぶ。蔵出し、とっておき、珍しい蔵書の数々が壁を埋め尽くす圧巻の空間。「映画パンフは宇宙だ!」でもひと棚借り、土曜日にとりあえずの納品と商品登録を済ませてきた。

 

オーナーのフランス文学者・鹿島茂先生のご発案で、31列ある棚にはそれぞれパリに実在する通りの名前がついている。棚の段には番地。うちは「テオフィル・ゴーティエ通り6番地」だ。運営の方曰く「ゆるい感じの大家なので」棚の使い方はかなり自由度が高い。派手に傷をつけたりしない限りは「何でもあり」ということで、すでに入居の終わっている棚のなかには、人形や小物を置いたり、のぼりを立てたりとユニークなディスプレイもあって、見ているだけで楽しくなってくる。うちもこれから魅力的な棚になるように磨いていくつもり。

 

ちなみにテオフィル・ゴーティエさんは19世紀フランスの詩人で小説家、劇作家らしい。今回の間借りにあたって初めて知った仏文学の知識の薄さを反省し、一冊でも読んでおこうと思う。お薦めがありましたらぜひ。

ja.wikipedia.org

PASSAGEには学生さんが積極的にかかわってくださっている。この場を起点に「神保町に関わるヒトが、本を介して新たな出会いや発見を得られるきっかけをつくりたい」と、現在クラウドファンディングを実施中。28日23時の締切を前にして目標を達成されたとのことだが、企画力も行動力も抜群の彼ら、きっと興味深く刺激的なイベントをつくりあげていってくれるはず(すでに決まっているものだけでもかなり面白そう)。支援者は15回、講演会を無料でオンライン視聴できる。オリジナルのトートバッグや、この場をイベント利用できる特典のついたコースもあり、ご興味のある方はぜひご支援を!

readyfor.jp

この書店を運営するALL REVIEWSの支援団体であるALL REVIEWS友の会に参加している関係で、何度か開店準備にお邪魔した。設置お任せの棚主さんたちから届いた本の登録と棚への陳列が主な作業。そのなかで複数冊をまとめて1つにする必要があり、OPP袋を切り貼りして包んでいたところ、学生さんが横に来てじっと見つめている。包み終わると、「どうやって包むんですか」とご質問くださった。この手の作業は重要度の低い「雑用」とみなされがちで(書店さんのお仕事を軽んじるつもりはありません)、私のごく短い勤め人時代は「女の仕事」だった。できることは誰彼分け隔てなくやる。クラファンがご成功したのも、ひとつのプロジェクトに向けて、この誰もが等しく力を出し合って協力するマインドの賜物だと実感した。若い方々の柔軟な発想と熱意にも支えられるPASSAGEの門出をぜひ一緒にお祝いください。

 クラウドファンディングの締切は28日23時です!