今週買った映画パンフレット#04
2月よりふた月の休館に入る新文芸坐さんで、去年見逃した『ジャリカットゥ 牛の怒り』と『MONOS 猿と呼ばれし者たち』を鑑賞。パンフレットも販売してくれるのはうれしいところ。インドとコロンビア、なじみのない国から生まれた物語の背景がよく分かる深い、読ませるパンフレットでした。
パンフレットの紹介は鑑賞順(未見は最後に紹介)。
シチリアを征服したクマ王国の物語
武蔵野館ほかで上映中(2022/01/24現在)
正方形(21cm×21cm)/カラー/32頁
発行:有限会社ミラクルヴォイス
編集:ミラクルヴォイス
宣伝デザイン:thumb M
定価:1,200円(税込)※ポストカード付特別版。通常版は内容同じ800円。
- 見開きごとに色が違うカラフルで絵本のようなつくり。
- PRODUCTION NOTEは実質監督インタビュー。制作背景、脚本の苦労、監督の好きな作品(『アマルコルド』etc.)を知ると映画の場面にその影響が垣間見える…気がする。
- コラムは3本。①土居伸彰さん(ニューディアー代表、新千歳空港国際アニメーション映画祭アーティスティック・ディレクター)“ヨーロッパの”アニメーションの特徴からみる本作②金森香さん(プロデューサー)クマと人間の共生の物語から現代の多様性を考える③小柳帝さん(ライター、編集者)原作から紐解く本作。
- 吹替版キャスト(柄本佑さん、伊藤沙莉さん、リリー・フランキーさん他)紹介、柄本さん伊藤さん対談。リリー・フランキーさんインタビュー。
グレート・インディアン・キッチン
新宿ピカデリー他で上映中(2022/01/24現在)
B5/縦/カラー/24頁
発行:SPACEBOX、フルモテルモ
制作:フルモテルモ
デザイン:中野香
定価:800円(税込)
- 男性監督がみずからの体験に基づいて脚本を書き、撮り上げた。宗教的タブーにも踏み込んだために上映で困難を極めた作品がいかに支持を得て世界に広がっていったか、物議をかもした「シャバリマラ寺院問題」とは何かなど制作の背景を丁寧に説明したプロダクションノートが既に映画並みにドラマチック。
- コラムは2本。①古賀万由里さん(文化人類学者)南インドの文化や儀礼に知見。清潔と不潔が紙一重で存在するインドの文化について。②安宅直子さん(南インド映画研究者)インドの地域別映画の特徴に照らし、マラヤーラム語映画について。
- トリビアは必見。劇中の日常生活の所作がもつ意味を徹底解説。
- 劇中に出てくる数々の料理の紹介(ケーララ州出身のDJでタレント、サニー・フランシスさん監修)
- ネタバレはないので鑑賞前に読むのをおすすめします。
MONOS 猿と呼ばれし者
A5/横/カラー/20頁
編集・発行:ザジフィルムズ
デザイン:秋山京子
定価:800円(税込)
- 読み物としてレビュー1本、芝山幹郎さん(映画評論家)、エッセイ1本、星野智幸さん(作家)。
- アレハンドロ・ランデス監督ロングインタビュー。キャラクター造形、物語の背景にあるコロンビアの社会情勢、『フィッツカラルド』や『脱出』を思わせるジャングルでの撮影について。
- コラム1本、田村剛さん(朝日新聞・元中南米特派員)みずから撮影した写真を交えて、コロンビアの内戦について詳述。
- こちらも基本ネタバレなしなので、鑑賞前に読むのをおすすめします。
ジャリカットゥ 牛の怒り
B5/縦/カラー/24頁
発行:ダゲレオ出版
編集:イメージフォーラム
デザイン:成瀬慧
定価:700円(税込)
- 映画の舞台ケーララ州について。ジャリカットゥ、牛追い競技をめぐる社会情勢。
- リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督インタビュー。映画で監督が表現するものの意味、アニマトロニクスについて。
- こちらも鑑賞前に読むのをおすすめします。
THUNDERBIRDS 55
各種シネコンで上映、各種配信サイトで配信中(2022/01/24現在)
A4/縦/カラー/32頁
編集・発行:松竹株式会社事業推進部
編集:渡辺洋三[ロンデマンド]
デザイン:伊藤正浩
印刷:日商印刷株式会社
定価:1,800円(税込)
- 前半が今回の作品について。3話からなるストーリー紹介、構成を手がけた樋口真嗣さんインタビュー、スティーブン・ラリビエー監督インタビューを交え、現代によみがえった意義を解説。
- 後半は「クラシック版『サンダーバード』の世界」。誕生秘話から、影響を与えた映画、音楽、日本の玩具について。地図で見る「国際救助隊出動記録」、“スーパーマリオネーション”と呼ばれる人形を使った撮影について。「サンダーバード55の謎」は作品を知らない人でも本作が楽しめる豆知識集になっており、鑑賞前に読んでおくと作品の理解が深まるでしょう。
通販でも入手可能。